予約を取れた時から心が躍った。
私の中では、老舗の料亭や割烹や江戸前寿司といった職人の店。期待(どんなに素晴らしい時間を楽しめるのだろう!)という思いと、不安(お店の方から「もう来なくていいよ」なんて思われたらどうしよう)という思いのため、アミューズを頂くためにカトラリー持つまで、手も声も震えていたと思います。
アミューズは、定番の魚。
壮大な序曲といった感じの皿よりも、この小さな魚を味わうことで、この店の心意気を感じられるような気がした。
素敵な和旅館の部屋に通された時の茶菓子によって、その旅館で過ごす時間の進み方がはじめてわかるような、そんな感じをこのアミューズにも感じた。一瞬一瞬を大事に、五感を研ぎ澄ませて皿に注意を払ってくださいという、シェフの心意気を感じた。
素敵なレストランでも、メインよりもアントレの方に、シェフの個性(奇抜さともいえる個性)がでる料理が多いように感じる。そのような料理を食べると、導入で人を驚かしたはいいが、ありきたりな結末でエンドクレジットを出してしまう映画を見た時と同じ思いがしてしまう。それもあり、次に訪れる時は、違う皿を試してみようという浮気心が出てきてしまうが、こちらの店はこの次訪れる時も、「この皿を!」と思うほど虜にさせられた。
シェフの本当の力量ともいえるソースが大変素晴らしく、皿が進むごとに深みが増していく。私にとってこちらのメインは一生涯忘れられない味。
食べ終わった瞬間にその味を思い出してにやけてしまう、そんな皿に出会えたことは本当に嬉しかった。
(店内の様子・客層) = 小さなサロンが2つ、私が行った時は1つのサロンのみ。タペストリーが素晴らしいサロンの四方隅にテーブル、そして中央に大きなテーブル。
メニューには夏の女神の彫刻が左ページを飾り、右ページにアラカルトの記載。
客層は、壮年の夫婦、会社の経営者とその秘書など。ランチなので、服装も仕立ての良いスーツ。
緊張したが、店全体の雰囲気は、午後の光が差し込む美術館の一室、金色の光がまぶしすぎて絵を見ることはできず、他の方もいないため、しょうがなく一人遊びでもしながら時間をつぶすような、時間をもてあそぶ素敵な退屈といったものを感じた。(たぶん、初秋の午後の日差しがそう感じさせたのかも)
(スタッフのようすや対応) =初めてなので、堅苦しく素っ気無いサービスになるかなと思っていたのが、皿が進むうちに、こちら以上に打ち解け、声をかけてくれた。ワインとのマリアージュはどう?ワインも良いでしょ?と。ソースまですべて食べたメインの皿を提げるときは、「コンプリート!コンプリート!」と叫んでくれた。おいしかったでしょ、といって最後のワインを注いだ時の、あの嬉しそうな顔を見て、このサービスの担当もこの店の虜なんだなと思った。
(日本語・英語対応) =メートルは英語OK。サービスはフランス語。
(予約方法) = ホテルに依頼。
(10点満点で何点?) = 10点満点以上。
(アクセス) = ヴォージュ広場
(支払い方法) = クレジットカードOK。
(その他) = 行くにはまだ早かったかなと思うほどの若輩者でしたが、本当に行ってよかった。嬉しくて、店を出る際にメートルを始め全員に握手をして回った。またパリに来る理由がまた一つ増えた。
(2004年9月 ロメールの秋 様)
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